宅建の従業者名簿|2025年改正の変更点と10年保存

公開 2026年10月3日

商い屋 不動産 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日
目次11項目

宅建の従業者名簿は、宅地建物取引業者が事務所ごとに備える帳簿です。取引の関係者から請求があったときは閲覧させなければならないと定められているため(宅地建物取引業法第48条第4項)、事務所に置いておく必要があります。

一般には、入社と退社のたびに書き足していく形で運用されています。とはいえ、書き足す機会が年に数回しかないため、様式が古いまま残りやすい帳簿でもあります。実際、2025年4月の改正で記載事項が変わったことに気づかないまま使い続けている例があります。

ここでは、宅建の従業者名簿に書く事項と保存期間を、改正で変わった点を含めて整理します。

宅建の従業者名簿は事務所ごとに備える

宅建の従業者名簿の根拠は、宅地建物取引業法第48条第3項です。事務所ごとに備えることを求めています。記載事項は施行規則第17条の2に定められています。

ポイントはここです。本店にまとめて置く形は想定されていません。 支店があるなら、その事務所の従業者について、その事務所に備えます。

  1. 1 従業者が入る 業務に従事し始めたとき
  2. 2 名簿に記載 事務所ごとの名簿へ
  3. 3 退職・異動 該当欄を記載
  4. 4 10年保存 最終の記載をした日から
書き足す機会が少ないぶん、様式が古いまま残りやすい帳簿

そのため、事務所を増やしたときに名簿が増えていないことがあります。開設したらその事務所ぶんを作る、という手順を先に決めておくと漏れません。

閲覧を求められることがある

従業者名簿は、社内向けの管理表ではありません。取引の関係者から請求があったときは、閲覧させなければならないと定められています(宅地建物取引業法第48条第4項)。電子で持っている場合は、画面か紙に表示して見せる方法とされています(施行規則第17条の2第3項)。とはいえ、そのまま渡すものでもないため、閲覧に応じる手順を決めておくほうが現場で迷いません。

誰が対応するか、どこに置いてあるか、閲覧の記録を残すか。この3つを決めておけば足ります。

置き場所は、事務所の中であればどこでもかまいません。とはいえ、鍵のかかる場所にしまい込むと、請求があったときにすぐ出せません。一方、カウンターに出しっぱなしにすると、個人情報がそのまま見える状態になります。この場合、事務室内の決まった棚に置き、対応する人が取りに行く形が現実的です。

閲覧の記録を残すかどうかは、法令が求めているものではありません。ただし、誰にいつ見せたかが残っていると、後から問い合わせがあったときに経緯を追えます。名簿そのものではなく、別の紙に1行書く形で足ります。

2025年4月の改正で、性別と生年月日が外れた

宅建の従業者名簿でいちばん取り違えやすいのが、2025年(令和7年)4月1日の改正です。2024年6月28日に公布された宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令(令和6年国土交通省令第70号)により、性別と生年月日が記載事項から外れました。

名簿に残っているもの

  • 氏名
  • 従業者証明書番号
  • 主たる職務内容
  • 宅地建物取引士であるか否かの別
  • 従事した年月日
  • 従事しなくなった年月日

名簿から外れたもの

  • 性別
  • 生年月日
2025年4月1日の改正で外れた2つ。氏名と証明書番号は法第48条第3項、残りは施行規則第17条の2が定める

一方、従業者証明書には生年月日が残っています。名簿と証明書は別の様式で、根拠の条文も違います。同じ改正の話としてまとめて扱うと、証明書のほうまで欄を消してしまうことになります。

既にある名簿をどうするか

すでに記入した過去の行をどう扱うかは、確認できた範囲では改正で直接示されていません。そのうえで、これから書く行は外した形にそろえるほうが扱いやすくなります。不要になった個人情報を新しく集める理由がないためです。

この場合、過去の記載をさかのぼって消すかどうかは別の判断になります。記載した当時は必要だった項目なので、消し方を誤ると記録としての連続性が崩れます。

実務では、改正の前後で様式を切り替え、古いぶんはそのまま残す形が扱いやすくなります。様式第八号の二の備考でも、記載を変更・訂正するときは前の文字が読めるようにしておくこととされています。過去の記載を塗りつぶすと、その欄が元から空だったのか消したのかが読めなくなります。

そのうえで、新しい様式に切り替えた日を控えておきます。控えていないと、数年後に「なぜ途中から欄が減っているのか」を説明できません。改正があったこと自体を覚えている人が、そのころには変わっている可能性があります。

証明書番号は名簿と証明書の両方に出てくる

従業者証明書番号は、名簿の記載事項であると同時に、証明書そのものにも書かれます。つまり同じ番号が2か所にあります。この場合、片方だけを直すと食い違いが残ります。

番号の付け方は、従業者証明書の様式(様式第八号)の備考で決まっています。1桁目と2桁目が雇用された年の西暦の下2桁、3桁目と4桁目が雇用された月(1月から9月は0を付ける)、5桁目以降が従業者ごとに重複しない番号です。5桁目以降の振り方を書き留めておくと、担当が代わっても続きから振れます。

宅建の従業者名簿の保存期間は10年

宅建の従業者名簿の保存期間は、最終の記載をした日から10年間です(宅地建物取引業法施行規則第17条の2第4項)。名簿そのものを閉じた日ではありません。電子で持つ場合も、そのファイルを同じ期間保存します。

  • 従業者名簿 10年 最終の記載をした日から
  • 業務帳簿(原則) 5年 各事業年度の末日で閉鎖後
  • 業務帳簿(自ら売主の新築住宅) 10年 同上
同じ事務所に置く帳簿でも、年数と起算日が違う

そのため、人の入れ替わりが続いている事務所では、起点が毎回更新されていきます。「10年前のぶんを捨てる」という運用にすると、まだ期間が残っているものを捨てることになります。

起算日を紙の上に書いておく

いつから数えるかを名簿の表紙か欄外に書いておくと、担当が代わっても同じ結論になります。書いていないと、そのつど記載欄をさかのぼって確認することになります。

とはいえ、記載のたびに書き換えるのは手間です。廃棄を検討する時期が来たときに数え直すという決めでも足ります。決めていないことのほうが問題になります。

宅建の従業者名簿と、他の帳簿の分け方

事務所には性格の違う帳簿が並びます。まとめて同じ棚に置くと、保存期間の短いほうに合わせて捨ててしまうことがあります。

帳簿根拠保存
従業者名簿宅建業法48条3項、施行規則17条の2第4項最終の記載をした日から10年
業務帳簿宅建業法49条、施行規則18条3項事業年度末で閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)
労働者名簿労働基準法第107条5年(当分の間3年。第109条・附則第143条)
  • 事務所ごと従業者名簿を備える単位
  • 10年最終の記載をした日から
  • 2025年4月性別・生年月日が外れた
宅建の従業者名簿で押さえる3つ

労働基準法の労働者名簿と宅建業法の従業者名簿は、目的も記載事項も違います。片方で足りると考えず、それぞれ用意します。兼ねようとすると、どちらの要件も満たさない表になりがちです。

宅建の従業者名簿を続けるための決めごと

宅建の従業者名簿が古くなるのは、書き足すきっかけが人事の側にあるためです。様式第八号の二の備考では、記載すべきことが起きたら2週間以内に記載することとされています。入社・退職の手続きの中に、名簿への記載を1行入れておくと抜けません。

証明書番号は名簿と証明書の両方に出てくるので、5桁目以降の採番の決めも先に置いておきます。誰がいつ発行したかが分からなくなると、番号が重複します。

もう一つ、退職した人の扱いを決めておきます。従事しなくなった年月日を書いた時点で、その人の記載は終わりますが、名簿から行を消すわけではありません。消してしまうと、保存期間の意味がなくなります。

とはいえ、行が増え続けると見づらくなります。この場合、在職者と退職者を別のシートに分けておき、退職者のシートも同じ名簿の一部として保存する形が扱いやすくなります。分けるときは、いつ移したかを残しておきます。

宅建の従業者名簿でよくある取り違え

実務で聞く取り違えを3つ挙げます。どれも様式の問題ではなく、運用の決めが無いことから起きています。

ひとつ目は、労働基準法の労働者名簿と同じものだと考えてしまうことです。目的も記載事項も違うため、片方で兼ねることはできません。両方を用意することになります。

ふたつ目は、2025年の改正を従業者証明書にも適用してしまうことです。名簿から外れたのは性別と生年月日で、証明書には生年月日が残っています。同じ改正の話としてまとめると、証明書のほうまで欄を消すことになります。

みっつ目は、保存期間を「その人が辞めてから10年」と考えてしまうことです。数えるのは最終の記載をした日からで、名簿単位です。別の人の記載があれば、そこで起点が更新されます。

宅建の従業者名簿を、事務所が増えたときにどうするか

宅建の従業者名簿は事務所ごとの帳簿なので、事務所が増えれば名簿も増えます。とはいえ、増やすのは名簿だけではありません。その事務所で働く人の証明書番号も、そこから発行することになります。

支店を出すときに決めておくとよいのは3つです。名簿をどこに置くか、誰が記載するか、本店との間で人が動いたときにどう書くか。最後のひとつが、いちばん抜けます。

人が事務所をまたいで動いたとき

本店から支店へ異動した場合、本店の名簿には従事しなくなった年月日を書き、支店の名簿には従事した年月日を書きます。どちらか片方だけを書くと、名簿の上では2つの事務所に同時にいることになります。

この場合、異動の辞令を出す手続きの中に、両方の名簿を直す作業を入れておくと抜けません。人事の側から見ると1回の異動ですが、帳簿の側では2か所の記載が発生します。

一方、短期間の応援で他の事務所に入る場合の扱いは、業務にどこまで従事するかで変わります。判断に迷う場合は免許を受けた行政庁に確認することになります。

事務所を閉じたときの名簿

事務所を閉じても、名簿の保存期間はそのまま続きます。最終の記載をした日から10年です。閉じた事務所の書類をまとめて処分する際に、一緒に捨ててしまう例があります。

そのため、閉鎖する事務所から持ち出す書類の一覧に、従業者名簿を明記しておくほうが安全になります。誰がどこへ移すかまで決めておけば、行方が分からなくなることもありません。

宅建の従業者名簿は、監査ではなく日々の運用で差が出る

宅建の従業者名簿は、備えていること自体はどの事業者もできています。差が出るのは、書き足す機会が来たときに実際に書けているかどうかです。

入社と退職は総務の仕事、名簿は宅建業の帳簿という具合に、担当が分かれている事務所ほど抜けます。総務の側から見ると、名簿は自分の管轄ではないためです。一方、宅建業の担当から見ると、人が入ったことを知る手段がありません。

この場合、どちらかに寄せるより、手続きの流れの中に組み込むほうが続きます。入社手続きの確認表に「従業者名簿へ記載」「証明書の発行」の2行を足すだけで足ります。退職の側も同じです。

書けているかを年に一度だけ見る

毎月確認する必要はありません。人の出入りが年に数回であれば、年に一度、在籍している人と名簿の記載が合っているかを突き合わせれば十分です。

突き合わせると、たいてい1つか2つ見つかります。書いたつもりで書いていなかった人、辞めた日が入っていない人。見つかった時点で書き足せば、それで済みます。

そのうえで、突き合わせた日を控えておくと、次に見る時期が決まります。控えていないと、前回いつ見たかが分からなくなり、結局やらなくなります。

宅建の従業者名簿にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

宅建の従業者名簿の決まりは、2024年から2026年にかけて、事務所に備える書類の見直しの中で動きました。名簿と事務所の掲示に関わるものを、日付順に並べます。

時期内容根拠
2024年6月28日宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令(令和6年国土交通省令第70号)が公布された国土交通省 報道発表(2024年6月25日)、e-Gov法令検索の改正履歴
2025年4月1日従業者名簿の記載事項から性別と生年月日が外れ、様式第八号の二が新しい形になった。従業者証明書(様式第八号)の生年月日の欄は残っている宅地建物取引業法施行規則第17条の2、国土交通省 様式集
2025年4月1日事務所に掲げる宅地建物取引業者票で、専任の宅地建物取引士の氏名の欄が人数の欄に変わり、この事務所の代表者氏名と、宅地建物取引業に従事する者の数が加わった鹿児島県「令和7年4月1日からの宅建業法施行規則の改正について」
2025年12月1日宅地建物取引業者票の大きさが「縦30cm以上、横35cm以上」から「縦25cm以上、横35cm以上」に変わった同上、国土交通省 様式集
2026年4月1日国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の令和8年4月1日施行版が出た。従業者名簿の主たる職務内容の書き方、旧姓の併記、電子での保存の扱いが示されている国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

宅建の従業者名簿で影響が大きいのは、2025年4月の様式の切り替えです。業者票では宅建業に従事する者の数を掲げるようになったため、名簿の在籍者数と業者票の人数が合っているかを、年に一度の突き合わせで一緒に見ておくと食い違いを防げます。

出典:

確認日は2026年10月3日です。自社の扱いは、免許を受けた行政庁(都道府県の宅建業の担当課か、大臣免許なら地方整備局)で確かめられます。

宅建の従業者名簿に出てくる用語

宅建の従業者名簿の欄には、条文の言葉がそのまま使われています。

用語意味出典
従業者法令上の定義はない。代表者、非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする人も、証明書を携帯させる範囲に含めるとされている解釈・運用の考え方(第48条第1項関係)
従業者証明書番号従業者証明書の番号。雇用された年の西暦下2桁、雇用された月の2桁、重複しない番号の順に付ける宅建業法第48条第1項、施行規則様式第八号の備考
主たる職務内容代表者と役員は役職名、それ以外の人は総務、人事、経理、企画、営業などの区分で書き、所属する組織名をなるべく付ける施行規則第17条の2第1項第1号、解釈・運用の考え方
宅地建物取引士であるか否かの別宅地建物取引士である人に○印を付ける欄施行規則第17条の2第1項第2号、様式第八号の二の備考
最終の記載をした日保存期間10年を数え始める日。名簿の中で最後に記載した日施行規則第17条の2第4項
取引の関係者名簿の閲覧を請求できる人。条文に範囲の定義はない宅建業法第48条第4項

宅建の従業者名簿で取り違えやすいのは、主たる職務内容です。「宅建士」と書きたくなりますが、それは隣の欄で示すことなので、主たる職務内容には役職名か「営業」「総務」のような区分を書きます。

宅建の従業者名簿と一緒に押さえておきたいこと

宅建の従業者名簿は書くまで2週間

宅建の従業者名簿は、記載すべきことが起きてから2週間以内に記載することとされています(様式第八号の二の備考)。入社や退職だけでなく、氏名が変わったときも同じです。旧姓の併記を希望する人には、名簿に旧姓を併記してよいとされていますが、現姓と旧姓を恣意的に使い分けることは避けるよう示されています(解釈・運用の考え方)。

備えていないときの罰則と監督処分

従業者名簿を備えず、記載事項を書かず、または虚偽の記載をしたときは、50万円以下の罰金の対象と定められています(宅建業法第83条第1項第3号の2)。さらに、第48条第3項の違反は業務停止の処分の対象にも挙げられています(同法第65条第2項第2号)。立入検査で名簿が出せないと、それだけで指摘の対象になり得ます。

電子で持つなら、その事務所で紙か画面に出せること

宅建の従業者名簿は、パソコンのファイルで持つこともできます。条件は、必要に応じてその事務所で機器を使い、紙面にはっきり表示できることです(施行規則第17条の2第3項)。本店のサーバーにまとめて置く場合でも、支店で閲覧の請求があったときにその場で表示できるかを、開設時に試しておくと安心です。

様式は従業者名簿のテンプレートに用意しています。証明書のほうは従業者証明書です。取引のつど記載する帳簿は業務帳簿の書き方で扱っています。

商い屋 不動産 編集部がまとめました不動産業の様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

従業者名簿は本店にまとめて置いてもよいですか。

宅地建物取引業法第48条第3項は、事務所ごとに備えることを求めています。支店がある場合は、その事務所の従業者について、その事務所に備える形になります。

2025年の改正で何が変わりましたか。

2025年(令和7年)4月1日に施行された宅地建物取引業法施行規則の改正(令和6年国土交通省令第70号)で、性別と生年月日が従業者名簿の記載事項から外れ、様式第八号の二も新しい形になりました。これから記載する分は、新しい様式にそろえるのが確実です。古い様式の扱いに迷う場合は、免許を受けた行政庁に確認できます。

従業者証明書からも生年月日は外れましたか。

外れていません。名簿と証明書は別の様式で、根拠の条文も違います。同じ改正の話として一緒に扱わないでください。

アルバイトやパートも載せますか。

宅地建物取引業の業務に従事する人であれば、雇用の形にかかわらず対象になります。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、代表者や非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする人も従業者証明書を携帯させる範囲に含め、証明書を発行した人はすべて従業者名簿に記載するとされています。様式第八号の二の備考にも、一時的に業務に従事する人も記載すると書かれています。

保存期間の10年はいつから数えますか。

最終の記載をした日から10年間です。人が入れ替わるたびに記載が発生するため、名簿そのものを閉じた日ではなく、最後に書き足した日が起点になります。

関連するテンプレート